大判例

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東京地方裁判所 昭和36年(ワ)7099号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事実と判断〕原告らは、被告が原告らの家屋敷地および営業用資材置場の敷地として占有中の本件土地の周囲に、昭和三五年一〇月一五日頃から同年一二月一五日頃までの間に高さ六尺、厚さ八分のコンクリート塀を築造して原告らの右敷地占有を妨害しているとして、この占有妨害に対する占有保持の訴として、各コンクリート塀の撤去と一〇〇万円の損害賠償を求めた。被告は、右塀の築造工事は本訴提起前に竣工ずみであるから、本訴は民法二〇一条一項但書に違反して不適法である旨本案前の抗弁を主張したが、これに対し原告らは、塀が存在する間はなお妨害が継続しており、かつ本訴は右塀の竣工後一年以内に提起したから適法と争う。

判決は、次のように説いて被告の本案前の抗弁を容れた。

「占有の円満な状態が工事により侵害された場合には、民法第二〇一条一項但書により『その工事の竣成したときは』もはや占有保持の訴を提起することはできない。法が占有保持の訴につきこのような出訴期間を定めたのは、工事による占有の妨害を除去させることはかえつて大きな社会的損害を生ずることが多いだけでなく、工事による状態は、たとい元来は占有を侵害して生じたものであつても、比較的速かに、社会の新たな秩序と目せられるに至ることを考慮した結果なのである。また金銭的補償の点も、それはあくまで占有という仮の状態の保護を前提とするから日時の経過による立証等の困難により可及的速かなる結末を得る必要もある。それ故に出訴期間の制限は、妨害停止の請求についてだけでなく、同じ占有の侵害に基く損害賠償の請求についてもひとしく適用されるものと解さねばならず、このことは、民法第一九八条及び第二〇一条第一項但書の文理自体からも肯定されるところである。」(柳川真佐夫)

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